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秋の習慣や神話、迷信

自然と伝統が共存するルーマニアの秋

9月1日から秋が始まる日本人には不思議に思われるかも知れませんが、ルーマニアでは秋は9月21日頃から始まります。

実り豊かなルーマニアではこの季節に関する習慣や言い伝えがたくさんあります。

◆ ワイン

昔から伝統を大切にするルーマニアの村人は、『十字架の祭日』にあたる9月14日から各地で秋の儀式を行い、収穫した作物を保管する納屋を掃除したり、葡萄や小麦を収穫したり、ワインを作ったりします。

葡萄の収穫を始める前に「神様にワインを捧げる」という習慣があります。村人は古いワインを葡萄園にもっていきそのワインを土に注ぐと、来年もまた葡萄がたくさん実ると言われているからです。

この儀式が終わるといよいよ葡萄の収穫が始まります。葡萄園で最初に採る葡萄の房は「神様の房」といわれているので空へ投げます。また、最後の葡萄の房は自然に戻さないといけないといわれていて、収穫せずにそのまま木に残しておきます。 今日、ワインの作り方は日本も同じだと思いますが、昔は収穫した葡萄を樽に入れて素足で潰す習慣がありました。

◆ ハーブ

ハーブを収穫するのは秋分の日までと言われています。秋分の日以降に摘んだハーブは健康には良くなく、逆に毒になると言われています。それは、ルーマニアでは秋は『死の季節』だと言われているからです。秋分の日以降に咲くハーブは死のハーブであるため、摘まずに寒さで枯らさなければなりません。

そのハーブの中で一番恐れられているのはイヌサフランです。秋に咲くイヌサフランは魔女のハーブで魔法の儀式で使われている、と言われています。イヌサフランについての伝説があります:

昔、春のイヌサフランと秋のイヌサフランというとても美しい双子の姉妹がいました。この姉妹にはとても意地の悪い継母がいました。この継母はこの美しい姉妹を嫌って、ある日彼女たちを家から追い出してしまいました。一人の娘は春の国へ、もう一人の娘は秋の国へ行きました。こんなに美しい娘たちが一人きりでこの世の中にいるのはかわいそうだと思った神様が、彼女たちの姿を花に変えてしまいました。春の国へ行った娘は、春に咲くイヌサフランに変わり『命のシンボル』になりました。しかし秋の国へ行ったもう一人の娘は、秋に咲くイヌサフランに変わり『死のシンボル』となってしまいました。

魔法を信じている田舎の人々は、今でも秋のイヌサフランは魔女に使われている花だと信じて疑いません。

◆ 鳥

秋は渡り鳥が越冬のためにアフリカへ飛ぶ季節です。ルーマニア人は鳥の行動でその年の秋の天候を予想出来ると知っていましたか。

例えば、渡り鳥がゆっくりゆっくり飛んだら、暖かくて穏やかな秋が来ると言われています。ぐるぐる回りながら群れをなして飛んでいたら、早く冬が来るといわれています。 他にも、麦畑にムクドリが沢山集まっていたら豊かな秋が始まりますが、麦畑からカラスが村へ飛ぶと実りの少ない寒い秋が来るといわれています。

移り変わりの多い季節の秋だからこそこの季節に基づいた習慣や神話、迷信がたくさん生まれました。自然と共存し伝統や習慣をしっかり守っているルーマニアならではの秋の過ごし方はとても素晴らしいですね。

[イワナ・コンスタンティン 著]