復活祭の翌日は、ここシュルデシティ村で村一番の働き者が選ばれる日です。村人たちは、それぞれ美しい民族衣装に身を包み、緑の葉で飾り付けられたホリンカという蒸留酒のビン1本をみんなでまわし飲みしながら、その時を待ちます。マラムレシュ地方にはルーマニアの伝統的な生活様式を続け、祝祭等を行っている村があり、とても興味深い伝承行事を見ることができます。さあ、水かけ祭りが始まりました。今年一番の働き者が選ばれたのです!
村人たち「はやく、ヤツに水をかけろ!」
働き者「そうはさせない。うまく、逃げてやるぞ!」
村人たちも、働き者も走り出し、追いかけあいが始まります。
この日選ばれた村一番の働き者は、村人から水をかけられることになっているのですが、働き者は水をかけられないようにうまく逃げなければなりません。そして、水をかけられる前にどこかで水を見つけ、自分で自分に水をかけなければなりません。もし、村人に水をかれられたら、働き者は今日の祝祭にかかった全費用を払うことになっているからです。
「水をかけろ!」「逃げるぞ!」
さて、今年の働き者はどうなったでしょうか?この誇らしげな顔を見てください。
うまく逃げて自分に自分で水をかけることができたのです!村の女たちは、この日のために準備したケーキやお菓子をかごに入れ、祭りの場所に持っていきます。そして、踊りが始まります。
踊っては休み、踊っては美味しいものを食べ、いつまでも踊りの輪は続きます。女たちはひとつの場所に留まらず、別の場所へもお菓子を持っていきます。そしてそこでも、踊りが始まります。
でもなぜ村一番の働き者に水をかけるのでしょうか?水は、ここで生きる村人たちと農業との強いつながりを示しているものなのです。作物を育てる命の水とともに生きることが、ここではとても大切にされているのです。来年は誰が村一番の働き者に選ばれるのでしょうか。
・・・村人たちは、来年の祭りの日まで精を出して働くことでしょう。